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冬がもの悲しい…もしかすると「季節性うつ」かも?

SUMMARY

  1. ・冬に多い「季節性うつ」とは?
  2. ・原因は「日照時間の減少」
  3. ・季節性うつ、4つの予防法
  4. ・摂取が難しい「ビタミンD」どうするのが正解?
  5. ・体調を崩さない!上手な冬の過ごし方

冬に「気分が落ち込む…」「朝起きられない…」そう悩める方は多いですよね。
もしかすると「季節性うつ」かもしれません。

今回は、知っておきたい季節性うつのメカニズムと対処法、さらには冬の健康管理に重要な「ビタミンD」についてご紹介していきます。

教えてくれたのは、「はやしたくみ女性クリニック」院長の林 巧先生です。




林 巧先生
北海道・札幌市の「はやしたくみ女性クリニック」院長。
クリニックでは、婦人科・産科の保険診療をはじめ、点滴療法・サプリメント指導を始めとする、身体の内側からの抗加齢(アンチエイジング)医学、こころのケアも含めた、トータルヘルスケアをサポート。全ての女性の“かかりつけ医”となるべく、ひとりひとりに合わせた医療を提供している。
はやしたくみ女性クリニック|公式サイト

冬に多い「季節性うつ」とは?


季節性うつとは、特定の季節に気分が落ち込み、うつ症状が現れるというもの。冬に多いため「冬季うつ」と呼ばれることも。

季節性うつになると、気分の落ち込み、無気力感、倦怠感、集中力の低下などの症状が現れます。
通常のうつ病と異なり、眠りすぎる「過眠」や、食べすぎる「過食」などの症状がみられることも特徴です。


また、男性に比べて女性の発症率は3〜4倍も多いそう。
先生によれば「女性ホルモンが影響している可能性がある」とのことでした。

ホルモンの変動が大きい方、たとえばPMS(月経前症候群)の方や、更年期の方などは、季節性うつの症状が強く現れる傾向があるため要注意です。


セルフチェック
季節性うつを知るための「セルフチェック」をしてみましょう!


半数以上当てはまると季節性うつの可能性アリ。深刻な場合は医療機関に相談しましょう。
また、当事者は気付いていない可能性もあるため、家族や友人など、周りで当てはまる方がいたら、ぜひシェアしてみてください。

原因は「日照時間の減少」



──季節性うつが起こる原因とは?

林先生:主な原因は、日照時間の減少です。
冬は日照時間が減少するため、「セロトニン」「メラトニン」の乱れにつながります。

セロトニン(幸せホルモン)
精神の安定をもたらすホルモン。朝に日光を浴びることで分泌され、夕方に近づくと減少していきます。

メラトニン(睡眠ホルモン)
睡眠を促すホルモン。朝に日光を浴びるとメラトニンは抑制され、夜に近づくにつれ増加していきます。

体にとって重要な2つのホルモンですが、日照時間が減るとセロトニンは減少、逆にメラトニンが過剰分泌される傾向に。眠気が強くなり、過眠や倦怠感につながります。


──セロトニンとメラトニンの乱れが、季節性うつを引き起こすのですね。


林先生:あわせて「体内時計」も乱れていきます。

体内時計は日光を浴びると調整されますが、日照時間が短くなると、体内時計が後ろにずれやすくなる。朝起きるのが難しくなったり、日中の活動が低下しやすくなります。

季節性うつ、4つの予防法


1|日光を浴びる

林先生:午前中は意識的に「日光」を浴びましょう。
できれば30分~2時間ほど、2,500~10,000ルクスの強い光を浴びると良いですね。
光目安:窓際の明るい部屋(約2,500ルクス)、屋外(約10,000ルクス)程度。

日光を浴びる習慣を作りたい方は「カーテンを開けたまま寝る」ことをお勧めしています。
カーテンを開けたまま寝ると、朝日とともにセロトニンが放出され、自然と体内時計もリセットされやすくなります。

防犯上などの理由で難しい方は、部屋に日光が入るよう「遮光無しカーテン」に変えてもいいですね。


2|軽い運動

林先生:日中にウォーキングなど「軽い運動」をすることでセロトニン分泌が促されます。

室内でのヨガやストレッチでもOK。
冬は運動不足になりがちですので、軽い運動をして血流を促すことで、免疫機能もアップできますし、抑うつの患者さんにも効果的です。


3|生活リズムを整える

林先生:体内時計を正常に保つためには、生活リズムが大事です。
朝は決まった時間に起き、夜は遅くまで起きていないようにしましょう。

特に、夜の「ブルーライト」には要注意!
寝る前にブルーライトを浴びると、脳が「いまは朝だ!」と勘違いして覚醒。メラトニンの分泌が遅れ、睡眠の質が下がります。

夜にデジタルデバイスを使用する場合は──
✔︎ 暗い部屋よりは、明るい部屋で使う。
✔︎ 寝る直前は、なるべくデジタルデバイスを使用しない。
✔︎ ブルーライトカット眼鏡など、軽減する工夫を。


4|ビタミンDを摂る

林先生:日照時間が減少すると、ビタミンD不足が起こります。
ビタミンD不足はセロトニン不足につながるため、冬はしっかり摂りたいですね。

ビタミンDの推奨量*は1日800〜2,000 IU(20μg〜50μg)ですが、実は摂取するのが難しい栄養素でもあります。
*成人一般の場合。ビタミンDの耐容上限量は1日あたり4,000 IU(100μg)。



摂取が難しい「ビタミンD」どうするのが正解? 


──ビタミンDの効率的な摂取方法を教えてください。

林先生:主な摂取方法の「日光浴」「食事」「サプリメント」をそれぞれ解説していきます。

まず「日光浴」について。
ビタミンDは日光を浴びると生成されますが、重要なのは皮膚から浴びること。

よく患者さんでも「私はスキーをしているから、冬でも日光浴できている」と聞きますが、スキーはウェアで全身を覆い、かつ日焼け止めをしている。つまりビタミンDは生成されません。

ビタミンD生成は、日焼け止めを塗らない状態で、皮膚から直接日光を浴びる必要があります。

もし日光浴だけで1日の理想的なビタミンD(2,000 IU/50μg)を生成するためには、12月の関東だと3時間20分、そして当院のある札幌だと11時間34分もの日光浴が必要になります。*

引用元:国立環境研究所と東京家政大学の研究チーム調べ。
*本記事では50μg生成に必要な日光浴量を算出しています。


──冬の寒空の下、何時間も日光浴…!とても現実的ではないですね。


林先生:そうなんです、しかも毎日行うのは不可能に近いですよね。

次は食事から摂取する場合について。
ビタミンDは特定の食材に含まれています。

◾️ビタミンDが多い食材
・脂肪の多い魚(サケ、マグロ、イワシ、サンマ、うなぎ)
・いくら
・きのこ類(特に日光を浴びたもの)
・レバー(牛や鶏)


食事から摂る意識は大事ですが、食事だけで十分量を摂取することは困難です。

例えば、ビタミンDが多く含まれるシャケは1切れ約1,000 IU(25μg)。
これを朝晩2回食べて、ようやく十分な量2,000 IU(50μg)になります。

干ししいたけは1枚あたり約100 IU(2.5μg)ですので、20個食べてようやく十分な量になる計算。

これだけの量を毎日摂るのは難しいですよね。
また食材が偏ることは別のリスクも発生します(大型の魚をたくさん食べると水銀リスクが高まるなど)。


──日光浴や食事だけでは、十分な量のビタミンDを摂るのはかなり難しいのですね。


林先生:日照時間が長い夏はまだしも、冬は困難ですよね。ですので、サプリメントに頼ることは有効な手段です。

サプリメント選ぶ際は、D2(植物由来)とD3(動物由来)がありますが、D3は吸収率が高いのでオススメです。


付け加えると、ビタミンDは脂溶性なので、食事(脂質)と一緒に摂ると吸収率が良くなります。

一般的なサプリメントであれば、食事と一緒の摂取をお勧めするところ、Lypo-Cは最初から脂質(リン脂質カプセル)に包まれた状態。どのタイミングでも効率よく摂取できる点が優れています。


体調を崩さない!上手な冬の過ごし方


林先生:冬を健康的に過ごすには、朝はカーテンを開けて日光を取り入れてセロトニンを活性化させ、夜はメラトニンを考えてブルーライトを控えめにしましょう。

そしてビタミンDは必要不可欠。
セロトニンとメラトニンの両方をサポートしてくれます。
冬の体調管理や、良質な睡眠をとりたい方にはオススメですね。


──先生自身、冬の体調管理で気を付けていることはありますか?

林先生:患者さんのためにもクリニックを休むことができないので、風邪を引いたりインフルエンザにかからないよう、日々体調管理には気をつけています。

クリニックでは、患者さんに「Lypo-C Vitamin C+D」をお勧めすることも多いですが、私自身もお世話になっていますね。

いつでも飲めるよう食卓テーブルに置いてあり、朝起きてすぐに2包キュッと飲んでいます。
他にも亜鉛やマルチビタミンなど、いくつかサプリメントは飲んでいますが、特に冬はビタミンをたっぷり摂取するよう意識していますね。

***



季節性うつの原因と対処法から、冬の体調管理におけるビタミンDの重要性まで、くわしく解説いただきました。

季節性うつは、本人ではなかなか気付きづらいかもしれません。
家族、友人など周りの人で「もしかすると…?」と感じたら、ぜひ内容をシェアしてみてください。





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