
フルーツを食べる人 vol.11 キュウリ
SUMMARY
- ・キュウリは野菜?
- ・キュウリを漢字で書くと?
- ・キュウリの美味しさ
- ・キュウリの成分
連載記事としてお送りしている”フルーツを食べる人”は今回で11回目の連載となりました。
今回のトピックは、キュウリ。
つる性の一年草で、黄色い花を咲かせて果実を実らせる植物です。
いまが旬の野菜、キュウリ。
我が家のキュウリの苗も背丈を越え、摘心を済ませたばかりである。
すべての野菜に言えることだが、自家栽培の野菜は旨味が違う。
そこで疑問に思った。
キュウリの栄養価はどうなのか?またそもそもキュウリは野菜と言えるのだろうか?
植物学的には、種子を取り巻く部分を果実といい、キュウリはこれに当てはまることから、海外では「フルーツ」と分類されることが多い。
ギネスブックにも最もカロリーの低いフルーツとして登録されている。
漢字では「胡瓜」「黄瓜」「木瓜」などと書く。それぞれの漢字には意味があり、由来がある。
原産地はインドからヒマラヤ山脈周辺で、シルクロードを渡って来たことから、中国から見た西方諸民族を指す「胡」の瓜として「胡瓜」と書くようだ。
緑のイメージのキュウリだが、これは未熟な状態の色で、完熟すると黄色くなる。
昔は熟した黄色い実を食していたことから、「黄瓜」とも書くのだそうだ。
また、キュウリは輪切りにすると切り口が「木瓜紋」(もっこうもん)という家紋に似ている事から、「木瓜」とも書く。
逆に、キュウリの輪切りの切り口を図案化し、「木瓜紋」を作ったという説もある。
「木瓜紋」は、織田信長の織田氏や堀田氏、有馬氏など戦国武将が家紋として用いていた。
また、徳川の葵の家紋にも似たことから、武士の間では、キュウリを輪切りにして食べることは不敬であるとされ、あまり食べられなかったようだ。
現在でも全国の祇園神社が御神紋(ごしんもん)とする紋がキュウリと似ていることから、京都や博多など祇園祭の期間中にはキュウリを食べない習慣としている地域もある。
元々にがみが強く不人気であったが、品種改良や栽培のしやすさ、収穫量などから江戸時代後期には一気に人気が高まったという。
現在では、ピクルスや漬物に適したミニサイズの品種や、甘味のあるもの、香が強く独特な風味があるものなど様々な品種が開発されており、食卓を賑わせている。
料理としては、サラダやマヨネーズ和え、味噌和えなど生で食べたり、ピクルスやキムチ、浅漬けなどの漬物にしたりだ。
にんにくや胡椒、味噌、トマトなどと炒めたり煮るなど火を通しても美味しい。豚肉や梅干し、もやしなどもよく合う。
ちなみにイタリア料理でよく炒めものとして出るズッキーニはキュウリとよく似ているがカボチャの仲間である。
1本およそ100gで11キロカロリーという低カロリーで水分が多いのが特徴だ。 ビタミンA・B1・C・Eなどを含むが、フルーツとして含有量が多いとは言えない。
しかし、ビタミンKはレタスと同等、食物繊維はキャベツと匹敵する量を含んでいて、野菜としては他の野菜と比較しても遜色ない。
カリウムやイソクェルシトリンを含んでおり、これが利尿作用や体内のナトリウム排出、体にこもった熱を排出して体を冷やすことから、水分補給とともに夏バテの改善によいといわれる。
夏バテの食欲不振には、味がさっぱりとしたキュウリは食べやすいというのもある。
汗とともに排出されやすい水分とビタミンC。この夏、キュウリを食べ、失われた水分とビタミンCの補給としてはどうだろうか。
【編集後記】
キュウリにはアスコルビナーゼというビタミンCを酸化させる酵素が含まれており、ビタミンCが壊れると言われることもあります。しかし、酸化したビタミンCも体内で還元されるという可逆的性質により、生理作用的には問題ないとされていますので、ご留意頂ければと思います。