
Inside Story - いまを生きる人の「内側」へ - #001新嶋莉奈
SUMMARY
- ・4歳で始めたウインドサーフィンで、海の虜に
- ・体調を崩しやすい。だからこそ食事にこだわる
- ・不調から脱するためには「自律神経を整える」
- ・オリンピック、そして未来の自分に向けて
日々自分と向き合い、新しく変化していく。
そんないまを生きる人々の「内側」にある大切な想いや、普段は見せない一面に迫るインタビュー企画「Inside Story - いまを生きる人の『内側』へ - 」。
第1回目は、ウインドサーファー・新嶋莉奈さんが登場。
新嶋さんは鎌倉生まれ、現在23歳。
オリンピック強化選手として世界中のレースを飛び回り、先日のフランス大会では銀メダルを獲得するなど、日本を代表するウインドサーファーとして注目されています。
「アスリート」といえば、日々ストイックに追い込むイメージがありますが、新嶋さんの性格はいたって穏やか。自身のコンディション、内なる声にも耳を傾けながら、夢に向かってマイペースに歩んでいます。
そんな新嶋さんの「内側」にあるものとは?お話を伺っていきます。
新嶋莉奈|ウインドサーファー
1999年、鎌倉生まれ。4歳よりウインドサーフィンを始め、全日本ジュニア選手権で5連覇。2018年、特別強化選手としてナショナルチームに抜擢。現在はパリオリンピック出場に向け、日々トレーニングや練習に励んでいる。
4歳で始めたウインドサーフィンで、海の虜に
─ 初めに、ウインドサーフィンを始めたキッカケから教えてください。
新嶋 父が元プロ選手ということもあり、4歳の頃にウインドサーフィンを始めました。
最初にサイパンでセーリングしたのですが、その頃はほぼ覚えていなくて、父に言われるがままやらされていたという感じです。
私が思うウインドサーフィンの魅力は、エンジンを使わず、海の上でどこにでも自由に行けるところ。
例えば葉山から江ノ島までウインドサーフィンだと10分ほどで着きますし、(エンジンを使わないという点では)いまのSDGs時代にもすごく合っている。
競技としての楽しみは、スピードが早くてエキサイティングなところ。非日常の感覚があるので、アドレナリンが出て楽しいですね。
海が見せてくれる表情が、毎日違うのも魅力の一つです。
私が一番好きなのは「凪」の時なのですが、海が鏡のようになっていて、本当にキレイで心も落ち着きます。
─ 元プロ選手のお父さまの影響とのこと、何か思い出やエピソードはありますか?
新嶋 今でこそウインドサーフィンは好きですが、高校生ぐらいまでは親にやらされているのが強く、イヤイヤやっていた時期もありました。
高校受験の時期にユースオリンピックの代表になったのですが、受験勉強と練習の両立が本当に大変で…。なのに父は「勉強なんてしてないでウインドの練習しろ!」と言ってきたり。よく喧嘩していましたね(笑)
良い思い出といえば、小学3年生の時に初めてできた「プレーニング」。
プレーニングとは、ウインドサーフィンの基本である滑走状態を作るものなのですが、父がずっと後ろからついてきてくれて、「今だ!」「そこ引けー!」と。父の支えで始めてプレーニングができた時は嬉しかったです。
普通の家庭でいう父親が自転車の乗り方を教えてくれるような感じ、自転車のウインドサーフィン版ですね。
体調を崩しやすい。だからこそ食事にこだわる
─ 日々の体づくりで気をつけていることを教えてください。
新嶋 (ウインドサーフィンは)全身の筋肉を使うのですが、強いて言うなら背筋と太ももがベースとなるので、基礎からしっかりトレーニングしています。
あとは、「健康的に体重を増やすこと」を心がけています。
ウインドサーフィンは一定の体重があることで早く走れるため、体重を増やすことも競技にとって必要。…なのですが、私は体質的にはあまり太れないので、増量で苦戦しています。
もともと胃腸が弱く、悪いものを食べると体がすぐに反応してしまう。なので、海外遠征でも外食は控えて自炊するようにしています。
─ 体調を崩しやすいのですね。食事や栄養素で気をつけていることはありますか?
新嶋 基本的なことですが、油物や加工食品は食べない。
食材には気をつけていて、多少値段が高くても体に良いものを選ぶようにしています。
あとは、その日「自分が食べたいものを食べる」ということ。
体が求めているものって、その時に必要なものが多いのかなと思うので。「今日はこれが食べたい!」となったらすぐに作りますね。
栄養素で大切にしているのは「ビタミンC」です。普段はLypo-CのサプリメントでビタミンCを補っていますね。
ウインドサーフィンはすごく日差しが気になる競技ですし、体のケアとしてビタミンCは本当に欠かせない栄養素ですから。
─ 普段からLypo-Cのサプリメントを愛飲いただいているとのこと、飲み始めたキッカケとは?
新嶋 最初は母からの紹介でした。
母がこっそりLypo-Cのサプリメントを飲んでいて「すごく良いから莉奈にも教えてあげるよ」という感じで。
Lypo-Cのサプリメントは1日2〜3包飲みます。朝起きた時、あとはご飯前など。朝は胃に何もないので、吸収していく感覚が好きで飲んでいます。
レースの場合は、始まる前・終わった後に、ケアとして飲んでいますね。
私にとってLypo-Cは、なくてはならない存在。
競技にも美容のケアにも本当に必要なので、ちょっと壮大ですが「人生になくてはならないもの」だと思っています。
不調から脱するためには「自律神経を整える」
─ 先日のフランスの大会以降、長らく不調に悩まされていると聞きました。現在の体調について教えていただけますか?
新嶋 不調が始まった原因はオーバーワークでした。
フランス大会の後にヨーロッパ選手権に出たのですが、前入りの段階で熱を出してしまって。そのあとハチに刺されてしまう…という災難も。
そして帰国後に、愛知の大会に遠征したのですが、ちょうど線状降水帯の大荒れの時期だったため車移動が21時間もかかり、ひどく疲労したまま国内のプロツアーに参戦。
今までは国内1位だったのですが、その時に3位という結果になってしまって。それでさらに自信を失くした…という感じです。
─ うまく行かない時、挫折をした時、どのように立ち直っているのでしょう?
新嶋 最近はずっと「うまくいかないなぁ…」と思っていて。
何度もウインドサーフィンを本気でやめたいと思ったことがありました。
でもそんな時は、周りの人々、両親やコーチが助けてくれて。
特にコーチはいつも私と向き合ってくれるので、メンタルも安定しています。本当にコーチがいなかったらもっと不安定だったな…と思います。
色々な方にアドバイスをいただき、それで徐々に自分の気持ちもポジティブになれる、立ち直ることができています。
新嶋 ここ数ヶ月は不調続きでしたが、少しずつ良くなってきました。
胃腸科の先生に言われたことは、いまの不調は「悪いことが起こってしまうかも」という恐怖心からくるものだと。
なので最近では「自律神経を整えること」を意識して、交感神経、副交感神経をコントロールすることを頑張っています。
─ 自律神経を整えるために、具体的にしていることはありますか?
新嶋 最近はSNSを見るのをやめました!
前までは他の選手の投稿を見ても何とも思わなかったんですけど、不調の時に見ると、すべてが気になってしまって。
今はスマホからSNSアプリを削除して、iPadだけに移しています。
あとは、毎晩ノートを書いています。
1日を思い出してノートを書いてみたら、意外と良かったこと、感動したこと、感謝したことがたくさんある。そういうことが、いまの私には良い経験だと思っています。
オリンピック、そして未来の自分に向けて
─ 現在、オリンピック出場に向けて活動中かと思います。意気込みを教えてください。
新嶋 昔からオリンピックに出場することが夢でした。
最後の1年が勝負だと思っているので、絶対に日本の代表権を勝ち取って、パリオリンピックに出て、良い成績を残したいと思っています。
オリンピックに向け強化していることは、やっぱり「メンタル」面。
心が整っていないと良い練習もできないですし、体調も崩れて良くない…というのが、ここ数ヶ月の経験から学んだことでした。
メンタル面を強化して、その上で質の良い練習、トレーニング量があるものだと思います。それらをひっくるめて、全て強化していけたらいいなって思います。
─ 新嶋さんは、「未来の自分」を作るために、日々実践していることはありますか?
新嶋 大きく2つあって、1つは「目の前のことをやる」ということ。
私は先のことを考えるとすごく焦るタイプ。オリンピックでもなんでも、目標が大きいとやることが多く気持ちが焦ってしまう。
なので「目の前のことだけをやる」という、今日1日を頑張ることを意識しています。
もう1つは「感謝」です。
母の影響もあり、毎日近くの神社でお祈りしています。
その時に、「今日1日健康に過ごせてありがとう」といった感謝を、神様や、ご先祖様に向かってしています。そういう心がけが、未来の自分を作っていくのかな、と思っていますね。
─ 本インタビュー企画は「いまを生きる人の『内側』へ」がテーマ。
新嶋さんの「内側」にあるものを一言で表すなら?
新嶋 そうですね…私のいまの内側を表す言葉は「平和」だと思います。
アスリートには向かないかもしれないですが、私は争いごととか、あまり好きではなくて。
いまの戦争のニュースなどを見ていてもすごく心が痛みます。
いろんな人と平和に仲良くしたいし、自分の心の中は「平穏な日常」を求めているのだなと思います。
Photo / Video Edit : Yikin HYO (sceeen)
Video : rakuda
Direction : Kei Fujieda (Banryu)
Edit / Text : Makito Uechi
Title : Mariko Hara