
受験シーズンに知りたい!集中力と体調管理のコツ
SUMMARY
- ・集中力アップの3大要素
- ・受験前に体調を崩さないためには?
- ・体調管理に欠かせない「ビタミンD」
- ・受験シーズンの「心の健康」どう保つ?
冬は受験生にとって大事な時期。
この時期に気になるのは、集中力アップや、試験前に風邪を引かないための体調管理です。
そこで今回は、子どもの心と体の健康を専門とする小児科医・大井美恵子先生に、受験シーズンを乗り切るアドバイスを伺いました!
大井美恵子 先生
「女医によるファミリークリニック」院長。小児科医。子どもの心相談医。
「家族みんなを診察できるクリニックをつくりたい」という思いを実現するため、広島県・広島市にクリニックを開業。一般小児科の症状をはじめ、登校拒否や心の問題、受験に関する相談まで幅広く対応している。
女医によるファミリークリニック|公式サイト
──受験生が気になる「集中力」。高める方法とは?
集中力には「環境」「睡眠」「栄養バランス」の3つが重要だと思います。それぞれ解説していきます。
◾️環境
まずは「勉強する環境」。勉強は静かなところが集中しやすいと思いがちですが、人によってタイプが異なります。
部屋ではなくて自習室やカフェが良いという人もいますし、音楽を流した方がはかどるタイプ、薄暗い部屋の方が集中できるというタイプもいます。夜型、朝型でも分かれますよね。
大事なのは、「これが自分に合っている(集中できる)」という自分の特性を知って、心地よい環境作りをすることからはじめましょう。
◾️睡眠
睡眠時間を削って勉強する人は多いですが、パフォーマンスが下がるので、まずはしっかり寝ることが大事です。睡眠不足は、集中力が落ちたり、記憶力の定着が下がる原因になります。
睡眠時間を確保しつつ、起きている時間で効率的に勉強する方法を考えましょう。
もし日中眠くなったら「昼寝」を取り入れてみてください。
昼寝をすると夜に眠れなくなると思われがちですが、15〜30分程度の短い昼寝であればむしろ積極的に取った方がいい。
昼寝は夜の3時間の睡眠に匹敵するといわれています。
ただし長時間ダラダラ寝るのを避けたいので、昼寝の前はカフェインを摂るのがオススメ。寝る前にカフェインを摂るとすっきり起きやすくなります。
◾️栄養素
積極的に摂りたい栄養素は「ビタミン」「亜鉛」「鉄分」。
ビタミンC、D、B群は、特に冬の体調管理にものすごく重要な栄養素です。
鉄分は、貧血予防はもちろんですが脳の働きにおいても大切。
そして、みなさん意外と忘れがちなのが「亜鉛」。亜鉛が不足すると疲れやすく、頭が回りづらくなります。
体を「工場」だとイメージした時に、栄養素は工場の重要な「材料」です。十分に体にないといけないものが、勉強の疲れで流出している状態に。
栄養素が不足することで集中力が欠けたり、記憶力が悪くなってしまいます。
これらの栄養素は、受験シーズンには多めに摂取したいところ。食事で摂ったり、難しい場合はサプリメントに頼ってもOKです。
──勉強中はカフェインやお菓子を摂りがちです。何か注意点はありますか?
カフェインは頭が冴える一方で、体内に残ってしまいます。カフェインが残った状態だと、睡眠の質が下がってしまうので要注意!
カフェインは就寝5〜6時間前までにしましょう。
また、勉強の合間にはお菓子をたくさん食べがちですよね。その際はドカ食いはせず、ちょこちょこ摂るように気を付けましょう。
一度に食べると血糖値が急上昇します。血糖値が一気に上がることで、体力が著しく消耗され、その後の勉強に響くことも。
普段から血糖値を急激に上げない工夫をしましょう。
たとえばタンパク質と一緒に摂る、食事だったら食物繊維と一緒に摂ることで、血糖値の上昇がおだやかになります。
受験前に体調を崩さないためには?
──受験前に体調を崩さないために、生活習慣や食生活のアドバイスをお願いします。
まずはしっかり「睡眠」を取ること。これが一番大事です。
睡眠不足は体力の消耗にも繋がりますし、免疫力が下がるので、疲れやストレスが溜まりやすくなります。睡眠不足は受験生にとって大敵ですね。
そして、免疫力を上げるためには「体を温める食材」を摂りましょう。
お魚、発酵食品(味噌汁、納豆)、キノコ類、海藻類などの粗食は、免疫力アップに非常に効果的です。
10代にとっては洋食やラーメンなど、コレステロール値の高いものが好きだと思います。
コレステロールの高い食事はたしかに美味しいですが、体に負担がかかりますし、血液もドロドロになり、腸内環境も悪くなりやすいです。
とはいえ「健康のためにラーメンを我慢してください」とは言いません。
基本はバランスの良い粗食を行い、お腹が空いた時や、勉強を頑張ったときの「お楽しみ」としてのラーメンという感じで、バランスを取った方がいいですね。
毎日の食事は親御さんがしてあげられることなので、ぜひ参考にしてみてください。
体調管理に欠かせない「ビタミンD」
──体調管理と、ビタミンDの関係について教えてください。
ビタミンDは冬の体調管理には欠かせない栄養素です。冬は風邪などの季節的なものから、勉強疲れやストレスなどでも体調を崩しやすいですからね。
ビタミンDは太陽の光を浴びると体内で合成されますが、受験シーズンは室内にこもって勉強しているため不足しがちになります。
特に10代は、骨の成長や脳や神経の発達にもビタミンDは欠かせません。
ただ、ビタミンDは食事だけで摂取することが難しい栄養素。
欧米では、子どもたちにビタミンDのオイルなどを与えることも多く、みなさん意識して摂っているようです。
冬はビタミンDが不足しがちなので、サプリメントなども上手に活用して、普段よりも多めに摂りたいですね。
受験シーズンの「心の健康」どう保つ?
──受験シーズンはストレスがかかる時期。ストレスとの向き合い方、心の健康の保ち方についても教えてください。
受験シーズンは、勉強のストレスでうつっぽくなる子が増えます。
ストレスにより、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が下がることで、うつや気分障害につながることも。セロトニンの低下は睡眠の質にも大きく影響してきます。
受験生には日光を浴びたり、ビタミンDを摂ることをオススメしています。
また、心が不調な時は、体に何かしら症状が出てることが多いです。
例えば「お腹が痛い」「疲れやすい」「朝起きられない」など。体の不調を感じたら、もしかすると「心に不調があるかも?」と疑ってみてください。
心の健康に重要だと感じるのが「家族との関係」です。
私は「子どもの心相談医」として、いろんな家庭を見て感じるのですが、家族との関係が良好であれば、子どものメンタルにも良い影響を及ぼしやすいと感じます。
特に、お母さんが元気な家庭は、子どもも元気な場合が多いです。
お母さんが普段から落ち込んでいたりネガティブな姿だと、子供まで落ち込んでいきやすいです。
では、「お母さんが元気になれることってなんだろう?」と考えた時に、その一つの方法として、毎日顔を見るのが楽しい、肌が綺麗になることかなと。
肌がツヤツヤしている人で、暗く沈んでいる人は少ないですよね。
綺麗な肌は腸内環境から作られます。
「肌は腸の鏡」と言われるくらいですから、まずは発酵食品やビタミンなどで、腸内環境を整える提案をすることが多いです。
肌の血色が良くなり綺麗になると、鏡を見るのが嬉しくなって、どんどん心も明るくなっていきます。
私は小児科の医師ですが、子どもだけでなく、お母さんも元気になれるようなクリニックを目指していますね。
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受験シーズンは家庭内がピリピリする時期。
そんな時にお母さんをはじめ、明るい家庭であれば、受験生のメンタルにも良い影響を及ぼすということですね。
また、先生が提案する集中力アップと体調管理、どちらも共通しているのは「良質な睡眠」と「栄養バランス」です。
受験生のみなさんと親御さんは、ぜひ参考にしてみてください。