世界に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 | vol.11 インド・ハイデラバード
SUMMARY
- ・インペリアルライフの真髄に触れる壮麗な宮殿ホテル
- ・王妃たちが信奉していたバラづくしのお手入れ
- ・まとめ
世界中のホテルスパを取材し、各地の健康や美のルーツを体験し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。
毎月、1地域にフォーカスを当て、その土地に根づく“おばあちゃんの知恵袋”的なウェルネスメソッドを、スパのリチュアルやトリートメント、文化体験などから紐解いていきます。
その土地の健康法を探りながら、世界を一緒に旅してみませんか?
今回は、インド・ハイデラバードにある「タージ・ファラクヌマ・パレス」です。
インペリアルライフの真髄に触れる壮麗な宮殿ホテル
インド中南部・デカン高原に位置するハイデラバードは、ムガル帝国の統治やハイデラバード藩王国の輝かしい時代を経て、現在は、テランガーナ州の州都です。
長く続いた藩王国の支配者(ニザーム)は代々ムスリムだったので、今なお、街にはイスラムの香りが漂い、ヒンドゥー教徒の多いインドの中で、独自の文化を貫いています。
市街地から約600mの丘の上、約13万㎡の土地に鎮座する「ファラクヌマ・パレス」は、“ミラー・オブ・ザ・スカイ(空の鏡)”と呼ばれ、大富豪の6代目ニザーム、マフブーブ・アリ・カーンの住居でした。
その後、ロイヤルゲストハウスとしても使われ、ジョージ5世、ロシア最後の皇帝ニコラス2世などが、ここに滞在した記録も残っています。
インドの名門ホテルグループ「タージ」は、10年以上の歳月をかけて細部に渡る修復を行い、伝統美と輝きを忠実に再現。2010年、ウルトララグジュアリーなホテルとして生まれ変わったのです。
イタリアンとチューダー様式が融合された建物には、アートや歴史的文化財があふれています。
王妃たちが信奉していたバラづくしのお手入れ
インドといえば、すぐにアーユルヴェーダが思い浮かびますが、独自の文化が根付いたハイデラバードの王家には、美しき王妃たちに伝わる魅惑のトリートメントが存在していました。
このホテルのスパでは、その秘法をヒントにつくられたトリートメント「ナワーブ・エ・ カース」を体験できます。
古来、ハイデラバードの女性たちが、美肌を心がけ愛用してきた植物やスパイスを使ったナチュラルセラピーです。
バラの花びらが浮かべられた優雅なフットバスからトリートメントは始まります。
続いて、アーモンド、ベチバー、バラの花びら、サフランなどでつくられたボディスクラブを全身に塗布。
ゆっくりとやさしいタッチで皮膚の老廃物が除去されると肌は一段明るくなり、深い安らぎと華やかな気持ちに。
同時に軽いフェイシャルスクラブも行われます。
その後、ゆったりとやさしいタッチの全身オイルマッサージを体験。
最後に美白効果があるといわれるローズドリンクが提供されます。
トリートメント後、肌に透明感とハリが出て、若返った印象を実感できるはずです。
この他、インドならではの秀逸な体験として、「Balanced」というヨガのプライベートレッスン(90分)も好評なので、滞在中に体験することをおすすめします。
まとめ
ハイデラバードを一望するテラス「ゴル バンガロー」は、常に平和な空気に包まれています。ここでは、毎晩、神への愛と献身が込められたイスラムの伝統的なパフォーマンス「スーフィー カッワーリー」が行われます。
鑑賞しているうちに、王族たちが感じたであろう癒やしと浄化の空気に包まれ、安らぎを実感するでしょう。
日に日に、日没の時間が早まるこの季節は、冷えを感じてエネルギー不足となり、何をするにも億劫になりがちです。
読者の皆さんも、高揚感を味わえるトリートメント、ヨガ、音楽などを堪能する時間を意識的に取り入れて、エナジーチャージしてみてはいかがでしょうか。
タージ・ファラクヌマ・パレス
Taj Falaknuma Palace
℡+91-40-6629-8585
スパ:ナワーブ・エ・カース 150分12,500INR、Balanced(ヨガ)90分1,800INR(ともに税・サ別)
Taj Falakunuma Palace,Engine Bowli,Hyderabad-500053
アクセス/ハイデラバード・ラニーヴ・ガンディー国際空港から、車で約35~45分。
https://www.tajhotels.com/en-in/taj/taj-falaknuma-palace-hyderabad/
レート
1INR≒1.78円(2022年10月下旬現在)
トラベル&スパジャーナリスト
板倉由未子 Yumiko Itakura
『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。
Photos:Yumiko Itakura